CFDはF×の金融商品なんでも版
CFDと同じ差金決済取引のFXは、CFDの為替だけを対象にしたものなので、FX経験者にとってcFDは、とつつきやすい金融商品といえます。FxトレーダーがcFDをはじめるにあたっては、次のようなメリットがあります。ただし、デメリットもあるので、その点もチェックしておいてください。
●為替を見ながら世界の指数を同時に取引できる メリツト①
ロンドン市場が動き出す日本時間の17時(冬時間)から、ロンドンとNY市場が重なる午前1時くらいまでは、1日のうちでもっとも盛んに為替取引が行われる時間帯。この時問帯をねらって取引した経験があるFXトレーダーなら、米ドルやユーロの値動きに、NYダウや欧州指数が大きな影響を与えていることはご存じのはず。これまで、FXのためにチェックしてきたNYダウや欧州指数に、CFDを通じて直接投資できるのは大きな魅力といえるのではないでしょうか。為替の値動きを見ながら、同時に各国指数を売買する。cFDの登場で、そうした取引スタイルが可能になったのです。
●値動きが大きく売買しやすい メリツト②
FX=ハイリスクというイメージから、為替は値動きが大きいと思われている方も多いようですが、実は株のほうが値動きが大きいということをご存じですか?
為替には一定の値幅を行ったり来たりしながら、価格を形成していくという特徴があるのに対し、株は企業の業績や経済状況によって、 一方向のトレンドを描きやすいという特徴があります。つまり、1つの材料から受ける影響が大きいということ。取引の規模を考えれば、当然といえるのかもしれません。ある調査によると、ダウの値動きの大きさは儲けるチャンスがあるということでもあります。とくにチャートのシグナルに沿って売買を行うテクニカルトレーダーにとっては、大きなメリットといえるでしょう。
●手数料の1つであるスプレッドが大きい デメリツト①
ここからは、FXトレーダーがcFDをはじめる際のデメリットを説明します。まず、手数料の1つであるスプレツド(売値と買値の価格差)が大きいということ。cFDは、FXと同様、売値と買値の2wayプライスで売買をします。Fxは、業者が乱立して過当競争が起こったため、スプレッドが非常に小さい。スプレツドは業者の収益に当たるものですが、0.1~0.5銭という業者もあります。ところがcFDはまだまだ参加業者数が少ないため、スプレッド競争が起きていません。スプレツドの設定は業者によって異なりますが、たとえばNYダウの場合、だいたい2~4ドルくらい。1銭、2銭の値動きで利益を上げているFXのスキャルピングトレーダーにとっては、大きく感じるかもしれません。
●為替の変動リスクがある デメリット②
次は、為替の影響を受けるということ。たとえば、NYダウを取引して100ドルの利益を得たとします。1ドル=100円で決済したときと、1ドル=90円で決済したときとでは、利益に1000円の差が生じます。つまり、損益に対して為替の変動リスクがかかるのです。しかし逆にいえば、これはメリットでもあります。cFDは現物の受け渡しはせずに、売買差損益だけをやり取りする「差金決済取引」。ですから、購入したときのドル/円価格に関係なく、差損益に対してのみ為替リスクが発生します。ここで、次ページの図のようにNYダウの現物取引と比較して考えてみましょう。 現物取引の場合、購入資金の全額をドルに替えてNYダウを買い、売って利益を確定した後に、さらに全額を円に替えてはじめて、円単位での利益が確定します。このとき、売買差益と売買代金そのものも為替の影響を受けるため、円安になれば利益は拡大しますが、円高になると利益どころか損することもあります。 つまり、見方を変えれば、cFDのほうがリスクが小さいといえるのです。
●資金の管理方法が未整備デメリツト③
最後は業者の資金管理面。Fxが全盛期を迎えたころ、顧客資産の流用や横領など、 一部悪質業者の存在が大きな問題になりました。こうした事態を受けて、金融庁の規制強化が進み、05年7月に顧客資産と自社資産を分けて管理すること、さらに09年8月には顧客資産の全額を信託銀行に信託することが義務化されました。これはFX業者に対する法改正であり、cFDは対象外。ほとんどのcFD業者が分別管理をしていますが、全額信託保全はまだ実施していない業者も多くあります。