CFDの魅力は海外市場の幅広い銘柄をトレードできることにあります。海外市場の株、株価指数、先物に目を向けてもらいたいのですが、その際に気をつけてほしいのが為替動向です。
私たちがcFDのロ座へ入金するのは、ほとんどが円でしょう。ところが、海外銘柄のcFDはドル建てやユーロ建て、ポンド建てなど外貨での取引になりますから、そこには当然、為替が絡んできます。円を外貨に交換する両替の必要が発生するのです。
資産管理はすべて円で行なわれます。外貨建て取引の場合は決済時の差損益のみが、決済時点での為替レートで自動的に円へと両替されることになります。外貨資産の取引とはいえ、為替レートの変動による影響を最小
にとどめられるようになっているのです。
少しわかりにくいかもしれませんので、丁寧に説明しておきましょう。現物株を取引した場合と比べるとわかりやすいでしょう。もし、米国株の取引ができる証券会社でグーグル株を10株ほど取引したとしましょう。買った時点での株価は350ドルでした。合計では3500ドルの取引となります。ところが、私たちが購入資金として証券会社に預けるのは円でしょうから、円を米ドルに両替する必要があります。両替には手数料が発生します。現物株取引の場合には、この両替コストが意外とバカにならないのです。ある大手ネット証券会社の説明を読むと、両替時には1ドルあたり片道25銭のスプレッドが発生すると書いてありました。他社を見てもネット証券では、片道25銭スプレッドがスタンダードとなっているようです。片道25銭のスプレッドということは、米ドル/円の為替レートの仲値が100円であれば、私たちが円を米ドルに両替するときは100円25銭で交換し、米ドルを円に戻すときは99円75銭で交換するということになります。これがどれほどのコストになるのか、先ほどの例で計算してみましょう。
グーグル株の購入時には350ドル×10株で3500ドルの両替となります。米ドル/円のオファーは100円25銭ですから、合計で35万875円が必要となります。さて、このグーグル株が購入後に思惑どおり、株価が上昇して1株360ドルとなりました。利益確定して売ったとします。このときは、360ドル×10株で3600ドルの取引です。為替が1ドル100円のままであれば、米ドルを円に交換するときのレートは1ドル99円75銭です。35万9100円です。35万875円で買った株が35万9100円で売れたので万々歳ではあるのですが、これで満足してしまってはいけません。もし、スプレツドがなければ100ドルの利益はl万円でした。ところが片道25銭スプレツドがあるために利益は8225円へと縮小してしまったのです。為替コストは意外にバカになりません。
では、CFDで同様の取引を行なったらどうなっていたでしょうか。先ほども説明したように、CFDでは決済時の差損益のみが両替の対象となります。350ドルで買ったグーグル株10株が、1株360ドルへと値上がりしたのですから、差益は100ドル。この100ドルのみが両替されます。現物株では取引代金の総額が両替の対象となりましたから往復で7100ドルに対して為替コストがかかっていたのに比べると、コストは大きく低減できます。
そうはいっても、もちろんCFDでも両替時のコストは発生します。為替レート(インターバンクの気配値)に土0・5%を上乗せして円へと両替されます。為替レートが100円であれば、米ドルを円に換えるときのレートは0.5%を差し引いて99円50銭ということになります。レートは悪くなりますが、両替金額の総額がたった100ドルのみと減額され、また往復ではなく決済時のみ、 片道の両替となるため利益は9950円と、現物株の
場合よりもグッと増えることになります。とくに取引の総額が大きくなる場合には、為替のコストもふくらんできます。取引が成功してせっかく利益が出ても「あれ、円にするとこれしかないの?」とがっかりすることにもなりますから、取引手段を慎重に検討する必要があります。