欧米市場の情勢
◎S&P500種が反落、ECB政策好感しユーロ上昇
4日の米株式市場ではS&P500種株価指数が反落。新たな景気刺激策や前向きな経済統計が発表されたものの、最近の上昇は行き過ぎとの懸念から売りが出た。
- 米国株、S&P500種が反落-ダウ平均は小幅続伸
- 米国債は続落、10年債利回り0.83%
- ユーロが対ドルで8日続伸、対円で1年ぶり高値
- NY原油先物は続伸、3カ月ぶり高値付近で推移
- NY金は4日ぶり反発、ECBの予想上回る緩和で
前日までに4日連続で上昇していたS&P500種は2週間ぶりの大幅安。新規失業保険申請件数が減少したことを受け、米国債利回りは上昇した。
S&P500種が前日比0.3%安の3112.35で終了。一方、ダウ工業株30種平均は11.93ドル(0.1%)高の26281.82ドルで終えた。ナスダック総合指数は0.7%下落。ニューヨーク時間午後5時現在、米国債市場では10年債利回りが8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の0.83%。
過去1週間の大幅な上昇を受け、S&P500種のバリュエーション(株価評価)は2000年以来の高水準となり、買われ過ぎを示す水準に上昇。トレーダーはさらなる買い材料を模索している。欧州中央銀行(ECB)の政策や失業の減速はあまり買い材料にならなかった。
インベスコの世界市場担当チーフストラテジスト、クリスティーナ・フーパー氏は「株式相場は3月23日の安値から奇跡的な回復を遂げたため、そのペースで上昇を続ける公算は小さいと考えるのが妥当だ」と指摘。「上値追いの材料が出てくるまで、相場は恐らく頭打ちとなり、レンジ取引になるだろう」と述べた。
新たな米景気刺激策の計画が待たれているが、事情に詳しい複数の関係者によれば、トランプ政権の当局者は今週予定されていた協議を延期した。
外国為替市場ではユーロが対ドルで8日続伸。9年ぶりの連続高となり、3カ月ぶりの高水準を付けた。対円では1年ぶり高値。ECBが発表したパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の増加幅が市場予想を上回ったことがユーロ買いを誘った。
主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は0.2%低下。ドルは円に対して0.2%上昇の1ドル=109円15銭。対ユーロでは0.9%安の1ユーロ=1.1338ドル。
ニューヨーク原油先物相場は3日続伸。減産順守を巡る対立で、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の主要産油国を合わせた「OPECプラス」の結束が脅かされているとの見方も伝わる中、3カ月ぶり高値付近で推移した。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物7月限は、前日比0.12ドル(0.3%)高い1バレル=37.41ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント8月限は0.20ドル上昇の39.99ドル。
ニューヨーク金先物相場は反発。ECBが予想より大幅な債券購入増額を発表したことを受け、債券相場は上昇し、株式相場は軟化。これを背景に金は4営業日ぶりに上昇した。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物8月限は1.3%高い1オンス=1727.40ドルで終了。
◎欧州市況:株反落、上げは行き過ぎとの懸念-イタリア債が上昇
4日の欧州株は反落。指数は前日に3日続伸し3カ月ぶりの高値に達しており、上げが行き過ぎとの懸念が広がった。欧州中央銀行(ECB)が金融緩和を拡大したが、市場は米週間失業保険統計の悲観的な内容を注視した。
ストックス欧州600指数は0.7%安。一時はECBの発表を手掛かりに0.2%高まで買い進まれた。ストックス600の業種別19指数のうち不動産だけが上昇、自動車が最も売られた。
米国の新規失業保険申請件数は前週比で減少したが、なお高水準で、継続受給者数は市場予想に反して増加した。
欧州債市場ではイタリア債を中心に周辺国債が他のユーロ圏国債を上回るパフォーマンスだった。欧州中央銀行(ECB)が新型コロナウイルス危機への対応を強化し、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の購入額を6000億ユーロ(約73兆5000億円)増やすとともに、少なくとも2021年6月末まで継続すると発表した。
- ドイツ債は下落。市場の関心はシンジケート団を通じた30年債発行の可能性に集まっている。
- イタリア債とドイツ債のイールドスプレッドは17ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)縮小して174bpと、3月27日以来最小となった。
- ドイツ債は利回り曲線がスティープ化し、5年債と30年債のスプレッドは一時7bp拡大の76bpと、1月以来の高水準に達した。
- 英国債は10年債を中心に下落した。
ドイツ10年債利回りは4bp上げてマイナス0.32%。フランス10年債利回りは1bp下げてマイナス0.01%。イタリア10年債利回りは14bp下げて1.42%となった。
出典 https://www.bloomberg.co.jp/
S&P500のトレード結果(6/4)
日付け | 終値 | 始値 | 高値 | 安値 |
---|---|---|---|---|
2020年6月4日 | 3,112.35 | 3,111.56 | 3,128.91 | 3,090.41 |
ギリギリ買い目線とならず、取引無し。仮に買い目線となっていたとしても、NYopen時にはすでに下落が始まっていたのでエントリーすることは得策ではなかっただろう
DAX30による目線判断(6/5)
C=当日終値 H=当日高値 L=当日安値
bH=前日高値 bC=前日安値
DAX30の値動きが下記の条件に当てはまるときにS&P500を売買する
ルール 2 Buy: H > bH Sell: L < bL
ルール 4 Buy: C > bH Sell: C < bL
赤実線…前日高値 赤破線…買い目線ライン
青実線…前日安値 青破線…売り目線ライン
日付け | 終値 | 始値 | 高値 | 安値 |
---|---|---|---|---|
2020年6月4日 | 12,428.10 | 12,386.85 | 12,552.74 | 12,321.45 |
買い目線判断ラインは12602
売り目線判断ラインは12271