行動経済学第6弾は、アンカリング効果です。
アンカリング効果
~提示された特定の数値や情報が
印象に残って基準点(アンカー)となり、
判断に影響を及ぼす心理傾向のこと~
船の錨(アンカー)が語源で、
錨を降ろした船が繋がれた範囲しか動けないことと、
顧客が情報を得ることで
判断が基準点に縛られてしまうことを例えている。
アンカリング効果は、
顧客の購買行動に大きな影響を与えている要因のひとつである。
例えば、30,000円のコートがあった場合、
通常であれば顧客は製品の品質や利用価値に注目して、
価格に見合ったものかどうかを検討して購買行動を行う。
ところが、「通常価格58,000円→特別価格30,000円」と表示することで、
先に提示した通常価格58,000円という情報がアンカーとなり、
30,000円という価格に対して
「28,000円値引きされている」という判断がなされ、
お買い得に感じられるといったことがある。
価格のアンカリング効果によって、
顧客は購買判断の際、
性能や品質以上に
価格や割引率といった数字に注目するようになるのである。
こうした価格判断は、
衝動買いにも大きな影響を及ぼしていることがわかってきている。
また、妥協効果と呼ばれる極端の回避性と
アンカリング効果を組み合わせた手法もある。
妥協効果とは、極端な高低の価格帯を避けて、
無難な中間の価格帯を選びやすいという心理効果のことである。
例えば、コース料理でAコース16,000円、
Bコース10,000円というふたつの選択肢だけの場合は、
顧客の選択は双方に分散することが多い。
しかし、
更に上のSコース30,000円という
高品質・高価格のコースを設定することで、
Sコースが高価格帯の基準になり、
AコースとBコースに割安感が出て注目されるようになる。
そして、安いコースを選んで失敗したくないという心理によって、
妥協効果が働き、
一番安いBコースが選択から除外される。
結果として、中間の価格帯となったAコースが選ばれやすくなる。
このように、非常に高価格なSコースをブラフとして設定することで、
もともとは高価格であるAコースを無難な選択肢だと思わせることができる。
この手法は、
使用前の品質判断が難しい製品である自動車や家電製品、
店ごとに価格設定が違うコース料理や
エステティックサロンなどのサービスで、
利益率の最も高くなる選択肢に集中させる為に活用されることがある。
・・・
値ごろ感で手を出してしまうということがよくあります。
直近高値がアンカーとなってしまい
価格は安い!
と思って買いポジションを取ったはいいが、
そのまま下落していってしまった・・・
こんなことにならないように
値ごろ感で飛びつくことなく、
チャートをよく見て
エントリーする方向を決めておくことが大切ですね。