以前のコラムでポジションは2枚以上持つのがおすすめといいました。 これには、もう1つ理由があります。 トレードで損切りと同じくらい難しいのが、利益確定のタイミング。どこまで上がるか、どこまで下がるかは、誰にもわからないからです。
負けているトレーダーにありがちなのが利小損大のトレード。含み益が出ると一刻も早く利益確定したくなり、逆に含み損が出ると「また戻るはず」と粘りたくなる。9勝1敗でも利益が出ない最悪のパターンです。 損小利大のトレードをするには、損失を最小限にとどめる一方で、利益を可能な限り追い求めることが肝心。それを可能にするのが、複数枚のトレードというわけです。複数枚のポジションを持つといっても、日経225を1枚、NYダウを1枚、金先物を1枚などと、分散させるということではありません。複数銘柄を1枚ずつ保有するのではなく、1つの銘柄で2枚、3枚と保有することが大切なのです。
たとえば、保有しているポジションが予想通りに動き、利益がだいぶ膨らんできたとします。そろそろ利益確定してもいいころだけど、ひょっとしたら上値抵抗線を上抜いて大化けするかもしれない、ということはよくあります。トレード経験のある人なら誰でも、1度は経験したことがあると思いますが、得られるかもしれない利益を逃すのは悔しいものです。一方、欲をかいたために、含み益が減ってしまうのも同じくらい悔しい。利益は出ていても、なんとなく損をした気分になるから不思議です。前述したように、どこが天井かなんてことは、誰にもわかりません。天井かもしれないし、化けるかもしれない。ですから、こういう場合はまずはポジションの半分だけ利食いしましょう。2~3枚持っているなら1枚、4~5枚持っているなら2枚分を確定するのです。
半分だけ利食いすることで、その時点での利益を確保しつつ、さらなる上値を追うことができるからです。さらに上昇したときは、またその半分を利食う。これを繰り返していくことで、利益を着実に殖やしていくことができます。つまり、投資資金に余裕があって、ポジションを多く持てる人ほど、利益を出しやすいということです。そのため、10万円儲かったら、ポジションを1枚増やすといったふうに、トレード枚数を増やしていくことも大切になります。
「半分利食い」のルールは、相場がどちらに転んでも後悔しないためのメンタルテクニックのようなもの。半分利食った後に相場が同じ方向に動いたら、「半分利食いしておいてよかった」と、逆に動いたら「損が半分ですんでよかった」と思えば、精神的にずっと楽になれるはず。
ちなみに、上昇トレンドは高値の切り上げ、下落トレンドは安値の切り下げが基本なので、前回高値(または安値)を切り下げ(または切り上げ)たら、すべてのポジションを手仕舞います。こうすることで、最低限の利益を残すことができます。