利食いを考えるときに重要なのが、リスクとのバランスです。先ほど1勝9敗でもトータルで勝つことができるとお話ししましたが、これを実現するには、トレード1回当たりの損失と収益のバランス(損益率)を考えたときに、 損失が非常に小さく、収益が非常に大きいということが必要になります。損切りするときは1万円の損失が出た時点でさっさと見切ってしまい、その代わり、 リターンは最大化しm万円の利益が出るまでじっと我慢するトレーダーがいたとします。彼の勝率はたったの1割です。彼が10回トレードしたとすると、9回は負けます
から損失合計は9万円になります。一方で、利益はたった1回の勝利ですが10万円ですから、収益は1万円のプラスになる計算です。これが1勝9敗でも勝てるカラクリです。
しかし、これはあくまでも机上の計算にすぎません。損失と収益のバランスを考えたとき、1:9とあまりにアンバランスだからです。では、どのくらいのバランスが適正かというと、トレードの期間や考え方にもよりますが、おおむね1:1.5~2程度が適正ではないでしょうか。 1万円で損切りするのならば、1万5000円から2万円程度のリターンが期待できるということです。
逆に言えば、1万円ほどで損切りすると決めているのに、収益が5000円程度しか見こめないようならば、損失になるリスクと収益になる可能性のバランスがかみ合っていないので、エントリーを見送ったほうがよいということにもなり1:1.5程度の損益率が実現できるのであれば、勝率が5割を割ってもトータルの収支をプラスにすることができます。こう書くと弱気に聞こえるかもしれませんが、 プロのトレーダーであっても勝率はよくて6割程度でしかありません。個人投資家であれば勝率5割を超えればかなり優秀な部類といえるでしょう。
しかし、繰り返しになりますが、トレードと勝率は関係ありません。プロ野球の監督であれば勝率が5割を割れば、首もとが涼しくもなるでしょうが、トレーダーにとっては勝率4割でも利益が出ていればよいのです。実際、損失と収益の比率を1:2として勝率ごとの収支を計算してみると、たとえ勝率が4割であっても利益が出ることになります。このケースでは損益がゼロとなる勝率は33・3%です。ということは、100回トレードをして67回負けたとしても、収支はトントンで落ち着くのです。
リスク管理を考えるうえで、マネーマネジメント、資金管理についても考えないわけにはいきません。初心者ほど顧みることがなく、優秀なトレーダーほど重視しているポイントがマネーマネジメントなのです。では、マネーマネジメントはどう考えればよいのでしょうか。それはひと言で済んでしまいます。「元本に対する損失の割合を常に一定のパーセント以下にとどめる」
ということです。 CFDやFXのようなレバレッジを利かせることができる投資商品に対して、「レバレッジ管理はどうすればよいのか?」といった質問を頻繁に耳にします。しかし、そうした質問は意味をなしません。レバレッジが2倍であろうと、100倍であろうと、取引の結果、生じうる損失が資金に対してどのくらいの比率なのかということを考えるだけでよいのです。