リーマンショックの怒った2008年、日本株も為替も2008年の1年だけで非常に大きく動きました。その背景にあるのはカジノ資本主義です。
2008年には、キャリートレードという言葉を皆さんもよく耳にしたのではないでしょうか。「円キャリーの解消が円高への主因となった」などとよく解説されていました。円キャリーとは、どういうものでしょうか。日本は世界的に見て超低金利だったので、円でお金を借りると金利コストも非常に安く済みました。そこで、安いコストで調達した円を株式やコモディティ、債券などに投じることで利益をあげようとする取引が盛んに行なわれるようになりました。これが円キャリートレードです。もし、円が2%の金利で借りられるのなら、他の市場で2%以上のリターンをあげれば、 2%を超える差額分がまるまる利益になるのです。
着物トレーダークとは、FXを手がける日本の投資家のことを海外のプロなどが郷捻するときに用いる呼称ですが、彼(彼女)たちは、低金利な円で高金利通貨を買うことで、あたかも外貨預金のように海外の高金利を享
受していました。
さらに2007年10月以降、アメリカが金利引き下げに向かい、日本に次ぐ低金利国となってくると、ドルで資金を調達して投資にまわすドルキャリートレードも活発になってきました。構造は円キャリーとまったく同様です。
こうしたキャリートレードは調達した金利コスト以上のリターンをあげているうちはいいのですが、ひとたび市場が混乱してリターンがあげられなくなると金利コストが圧迫し、市場からの撤退を迫られてしまいます。つまり、株やコモディティなどの投資を手仕舞い、低利で調達した円やドルを返済しなければならなくなるのです。これがいわゆる「キャリートレードの巻き戻し」です。
それを現実化させたのが、サブプライムローン問題でした。サブプライムローン問題が表面化し、ベアー・スターンズやリーマン・ブラザーズといった米国の大手金融機関が相次いで破綻すると、キャリートレードを行なっていたヘッジファンドや金融機関は「巻き戻し」を余儀なくされたのです。
その結果、株式やコモディティの市場からは資金が撤退し、相場を下げる圧力になりましたし、為替では円高・ドル高が進みました。