個人投資家が裁量トレードで勝つために必要な知識・技術とは何でしょうか。それはいうまでもなくテクニカル分析です。
CFDでは株や為替、債券、コモディティなどさまざまなアセットクラスをトレード対象とできますが、正しいテクニカル分析の知識があれば、投資対象を間わず活用することができます。アセットクラス特有の値動きやファンダメンタルズ要因はあるにしても、正しいテクニカル分析の知識をチューニングするだけで、どんな投資対象であっても対応できるのです。
ここから先はCFDトレードに役立つであろう、私の持っているテクニカル分析のノウハウを開陳していきます。その前に皆さんに大原則として、ひとつ心得ておいていただきたいことがあります。それは、市場の未来を予測するな、市場の現状に対応せよということです。不思議に思う方もいるかもしれません。実はある雑誌で私のことを「為替のジュセリーノ」と書かれたことがありました。ジュセリーノは一昔前にメディアで騒がれたブラジルの予言者です。彼は将来起きることを予知夢として知ることができるそうです。 一説によれば、米国がサダム・フセインを逮捕できたのも、彼が所在地を予知して米軍に情報を提供したからだともいいます。
そのことの真偽はさておき、私をジュセリーノになぞらえた人は、どうやら私の為替予測が的中することをもって「為替のジュセリーノ」と見出しをつけてくれたようです。おいおい、ついさっき「市場の未来を予測するな」と言ったのに、おかしいじゃないかとお思いの方もいるでしょう。
しかし、私自身は為替市場の将来を予測することが私の本分だとは思っていません。チャートを見ていれば、ある程度は「将来こう動くだろう」と考えることはできます。ただ、そうした予測に従ってトレードするのではなく、実際に起きた市場の動きに対応しながらトレードすることこそ、CFDで勝つための第一歩なのです。皆さんがよく誤解しているポイントがあります。それは、いわゆる投資のプロと呼ばれる人たちが、「特別な情報源を持って、高価なパソコンを使って、将来を予測できているから、投資で勝っているのではないか」という誤解です。実際はそんなことはありません。暴落・暴騰をピンポイントに百発百中で予測することなど、到底不可能です。それでもプロが勝っているのは、暴落を予見して仕込んでいるのではなく、暴落があったならば、それに上手に対応することで勝っているのです。
初心者とプロに違いがあるとすれば、市場の急変を常に頭の片隅においているかどうかという点ではないでしょうか。初心者ほど、平時がずっと続くものだと考えがちで、少しうまくいっただけで調子に乗ってポジションを増やし、暴落のリスクなど頭から一切消し去ってしまいます。そして、ひとたび暴落があると、慌てて損切りに終始するだけとなってしまうのです。そこで上手く対応して、賢く立ち回れるのがプロですoこれは別に暴落に限ったことではありません。 後述するように、トレードにおいてはトレンドフォローがもつとも基本の戦術となります。ところが、初心者の方はちょっと価格が下がったからといって、底打ちを勝手に自己判断して「上昇トレンドへ転換した」と予測してしまいがちです。プロであれば、どうするでしょうか。底打ちを自分勝手な判断で確認するのではなく、値動きが明確に変化してからトレンドの底打ちだと判断します。そのうえで新たに発生したトレンドに対応していくのです。予測ではなく対応が重要だと私が強調するのはそのためです。
皆さんも自分勝手な予測は捨てて、市場へどう上手く対応するかを心がけてください。